第1回:松川理事長との対談(その1)

研究室で何してる?!
第1回目は、本学の松川聖業理事長にお越しいただき、松浦研究室の見学をしてもらったり、松浦研究室の学生2名も加わった対談を企画して、お話を伺いました。

挑戦するから失敗がある、挑戦しなければ失敗も存在しない。

窮地に立たされた時、誰もが守りに入りたいと思うはず。
でも、あえて挑戦するからこそチャンスが訪れる。失敗を繰り返しながらも、最後には必ず成功して欲しい。
学園の経営者であっても、大学の研究者であっても、学生であっても、今回の対談で共通した見解を示すことができました。

今回の対談に参加したメンバーの中で、大学入試で浪人や失敗を経験したのは松浦だけではなく、
実は松川理事長や学生2人もそうだったことがわかり、まずはお互いで驚き、そして当時の話やその後の経験が次々と発せられました。

現実を突きつけられたとき、あなたはどう考えたのですが?

松川理事長>

人生って第1希望が叶うことはとても少ない。自分は高校が進学校で、校風が自由という環境下だったこともあり、勉強しないでも許されて、正直緩んでしまった。そんな状況だったので、大学受験に失敗し予備校に通う生活を過ごして、1年後に大学に入学した。後になってから、「当時の第1希望が叶わなかったことが今の自分にとってプラスだったのかマイナスだったのか」。もしそれが「プラスだった」と思うことができれば良い人生になる。逆に「マイナスだった」と思ってしまえば挑戦することをやめてしまい、成長できずに結果の出ない人生がやってきてしまう。
父の跡を継いで、36歳で本学園の理事長に就任した際、経営面で逼迫していた学園の状況を目の当たりにした時、正直どうしようかと思った。しかし、しっかり現実を眺めてみると、たくさん学校を改善できるところがあると感じた。「やってやろう」という想いで、一つ一つ改革に取り組んで5年で黒字化を達成できた。
これからの時代、今できる最大限の取り組みをしても、大学の経営は日本の少子化の波に勝てない時代が来る。その波に直面した時に何が一番効くかというと、それは「埼工大のOB・OGの活躍」。
卒業生が社会で活躍してくれれば、「埼工大っていい大学」、「埼工大に行こうよ」、「埼工大に入学したい」と思ってくれる高校生が必ず増えてくれる。そうすれば、激動の時代でも埼工大は必ず生き残れると確信している。

松浦准教授>

第1志望ではなかった埼工大への入学を躊躇っていたとき、アシストしてくれたのは当時の高校の担任の先生でした。化学を本気で勉強したいなら、大学院を目指しなさい。そのための準備や自分の興味のある化学の諸分野を理解するために、埼工大に行って勉強した方が良い。この言葉で、私は埼工大への入学を決めました。その後、埼工大で4年間勉強して(時には、研究室の教授や友達と目一杯遊んで!)、第1志望に掲げた筑波大学大学院に入学することができました。人生は失敗しないと自分は成長しないし、崖っぷちに立たされないとなかなか危機感を抱くことはできないみたいで、そういう状況になるには失敗覚悟であえて挑戦し続けるしかないと思います。

内田(学生)>

浪人することを両親に真剣に頼んだところ、母親から「あなたの性格なら1年浪人しても結果は同じ」と厳しく言われ、埼工大に入学しました。あの時の母親の言葉には今でも感謝しています。大学3年生の時に第1希望だった松浦研究室に配属されて、先生やキャリアカウンセラーの方から就職活動の指南を受けて挑戦し続けた結果、意中の東証一部上場企業から内定を頂きました。今は、次世代蓄電池の電極材料の研究を進めていて、とにかく研究にのめり込んでいます。でも、研究は分からないことを追究するので、挑戦しても失敗の連続。このままだと卒業できないのではという不安の中でも挑戦し続けるからこそ得られる成功。ここにきて驚きの研究成果が得られてきたので、今は研究がとても楽しいです。

菊池(学生)>

中学と高校の教員免許を取りたくて、地元の国立大学を志望していましたが不合格で、教職課程を設置している埼工大を受験して合格しました。教員免許を取ることが目的だったので、埼工大に入学し、教員免許取得に向けて化学に関する講義以外に教職に関する科目も履修して勉強してきました。高校から始めた趣味のラグビーも続けながら鍛錬を重ねて、最終的には民間のメーカーに就職することを第1希望として就職活動を進めて、地元の自動車用製品を開発する東証一部上場企業から内定を頂きました。私は、内田君の研究に関連した卒業研究テーマなので、いつも内田君と研究に関する議論をしています。夜遅くまで研究して、得られたデータを見ながら話をする。時には研究室に泊まってでも研究を継続する。とても有意義な時間であると感じています。


左から:菊池(学生)・松川理事長・松浦准教授・内田(学生)

 

与えられた環境で如何にがんばるか(気張るか)が勝負! その時に大切なのは、興味があることには「のめり込む」こと。「面白い!」や「楽しい!」といったことに気づき、その物事にのめり込むことができれば、自然とがんばることができるものです。
「のめり込む」ということは、「挑戦すること」と等価であると思っています。ということは、のめり込めばそこには失敗は付きものですが、自然とのめり込めば、失敗を恐れることなく物事に取り組むことができます。
「失敗したって、経験値は上がる!」。そして、経験値が上がれば、その先には必ず一筋の光が差し込み、やがて成功という評価を得られるの ではないかと思います。
失敗を恐れずに、若い学生の皆さんにはどんどん挑戦してもらいたいと考えています。

次回(第2回)は、松川理事長との対談の第2弾として、研究活動に対する対談の内容を掲載する予定です。